観光列車とお弁当
山陰まんなかには、車内で食事ができる観光列車や、漫画のキャラクターをモチーフにした特別な列車があります。100年前に作られた列車が文化遺産として保存されているところもあります。駅や列車内では弁当が販売されています。美しく盛り付けられ、一品一品が小分けされており、色彩もカラフルです。車窓からの景色を眺めながら味わうのは、素敵なひとときでしょう。
出雲空港からバスで出雲大社へ行き、出雲大社を参拝した後、門前町にあるもう一つの神社へ向かいます。木造の広くて平らな和風の建物は神社のように見えますが、この建物が駅舎だったと聞いて驚くでしょう。1912年に開業したこの駅は、大社線の終点駅です。駅舎は1924年に改装されました。1990年の廃線とともに駅舎は廃止されましたが、切符売り場や待合室の和風シャンデリア、瓦屋根の凝った装飾など内装は当時のまま残されています。プラットホームには蒸気機関車が今にも走り出しそうな姿で停まっています。
2018年に運行を開始した観光列車「あめつち」は出雲市駅を起点に運行しています。列車名は日本最古の歴史書に由来し、「天」と「地」を意味しています。紺碧色の車体は山陰地方の海と空を象徴しています。2両編成の列車には、木彫り、織物、和紙など地元の工芸品が飾られています。テーブルの一部には島根県産の石州瓦が敷き詰められ、洗面器は陶器で作られています。
サービススタッフが乗車し、カウンターでおつまみやドリンクを販売しています。事前予約が必要ですが、お弁当やスイーツを席まで届けてもらうこともできます。松江市の老舗店の料理と日本酒を楽しんでください。島根牛、穴子の卵焼き、大山鶏のチーズ焼き、野菜の煮付けなど、料理は日本酒とよく合います。日本酒の種類は、華やかな香りとやや辛口ですっきりとした味わいが特徴の純米吟醸です。
お食事の際には、窓の左側に広がる宍道湖や中海を眺めることもできます。
米子駅で下車し、駅の周辺を散策してみましょう。町の中心部には、木造電車「フ50号」が保存されている場所があります。この電車は米子駅から南へ向かう法勝寺線を走っていましたが、1967年に運行を終了しました。
米子駅からバスで25分で、南部町の法勝寺電車ひろばに到着します。広場内には203年製造のデハ1922号が保存されており、50年以上前と変わらない姿を今に伝えています(要予約)。木の温もりが感じられる車内は、オレンジ色のライトに照らされて、雰囲気も抜群です。
米子駅でお弁当を購入しましょう。吾左衛門鮓は山陰地方の駅弁の代表格で、酢飯(一般的なすし飯)とジューシーなサバが秘伝のタレで味付けされた昆布で巻かれています。サバ以外にもカニ、マス、アジもあります。このお寿司には酸味がなく、口の中にじんわりと味が広がります。
米子駅から境港駅を結ぶ境線には、妖怪漫画の代表格『ゲゲゲの鬼太郎』のキャラクターをモチーフにした鬼太郎列車が運行しています。米子駅のホームにはキャラクターのオブジェが置かれ、あなたを漫画の世界へと誘います。
*トピック
境線にある後藤総合車両所は、山陰地方の鉄道車両の検査と修理を行っています。約300人が82,000平方メートルの広大な敷地で働いています。車体、台車、エンジン、電装品などを分解して検査するには1ヶ月から2ヶ月かかります。通常見ることのない吊り下げられた車体やむき出しのエンジンや車輪などの光景は興味深いものです。この車両基地は通常は閉鎖されていますが、年に数回、人数限定で見学ツアーが開催されています。
境線の終点、境港駅から東へ800メートルのところに「水木しげるロード」と呼ばれる商店街があります。漫画「ゲゲゲの鬼太郎」にちなんで名付けられました。歩道には漫画のキャラクターのブロンズ像が178体設置されています。夜になるとライトアップされ、昼間とはまったく異なる景観に変わります。道には妖怪の影が現れるので、散策を楽しむことができます。
境港駅近くのホテル「御宿 野乃」は、最上階に温泉大浴場があります。お風呂からは街が一望でき、晴れた日には大山を望むことができます。館内は畳敷きの旅館のようですが、ベッドもあるので快適に眠れます。朝食は和洋バイキングで、おすすめの料理は自分で新鮮な海鮮を盛り付ける海鮮丼です。*2020年3月時点で、提供システムが一部変更されています。
魚市場に隣接している境港水産物直売センターは、鮮魚店が12軒も並び、その日に水揚げされた魚を安く販売しています。この地域では冬から春にかけてのカニが特産品で、カニだけを販売する店もあります。品揃えが豊富な朝に訪れることをお勧めします。